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もくじ◎特別企画:「世界の児童文学賞」番外編 ルドルフ・コイヴ賞(フィンランド)◎注目の本(邦訳読み物):『羽根の鎖』 ハンネレ・フオヴィ作/末延弘子訳 ◎注目の本(邦訳読み物):『お手紙レッスン』 D・J・ルーカス (AKA サリー・グリンドリー)作/トニー・ロス絵/千葉茂樹訳 ◎注目の本(未訳絵本):"Flotsam" デイヴィッド・ウィーズナー作 ◎注目の本(未訳読み物):"American Born Chinese" ジーン・ルエン・ヤング作 ◎賞速報 ◎イベント速報 ◎やまねこカフェ:海外レポート 第5回スイス(チューリヒ州) ◎読者の広場:海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ! ●このページでは、書店名をクリックすると、各オンライン書店で詳しい情報を見たり、本を購入したりできます。 |
●特別企画● 「世界の児童文学賞」番外編
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〜フィンランドの国民的イラストレーターの名を冠した、挿絵の賞〜 |
■概要 名称:ルドルフ・コイヴ賞(Rudolf Koivu -palkinto) 対象:過去2年間に出版された児童書(ヤングアダルト含む)の挿絵。受賞者はフィンランド国籍を有する者に限られる。 創設:1949年 主催:フィンランドグラフィックデザイナー協会 Grafia(Grafia ry) 発表:隔年1月〜2月(2007年は2月1日) 関連ウェブサイト:https://www.grafia.fi/ |
本賞は、画家ルドルフ・コイヴ(1890〜1946)(※)の業績を称えて、コイヴの没後間もない1949年に創設された。授賞の目的は、児童書の挿絵の地位と水準を向上させることである。
対象となるのは、過去2年間に発表された児童書の挿絵で、挿絵の技法や作品の形式は不問。電子的な形式のマルチメディア作品も対象となる。応募の方法は、作品を指定の期間内に主催団体であるフィンランドグラフィックデザイナー協会へ送付するという形式をとっている。2007年の応募総数は91点であった。
審査は、同協会がその都度選出する5名の審査員が行う。審査員の職業はグラフィックデザイナー、画家、作家、幼稚園教諭などである。また2005年より、全応募作を対象に子ども審査員団が選ぶ優秀作品が、併せて発表されるようになった。
主催は、賞の創設時から1983年まではルドルフ・コイヴ基金であったが、その後、フィンランドグラフィックデザイナー協会とフィンランド児童文学作家協会の共催、フィンランド図書財団の主催を経て、現行の形式になったのは1997年からである。1985年まではほぼ毎年、それ以降は隔年に発表されている。
(※)ルドルフ・コイヴは、フィンランドを代表する挿絵画家の一人。ヘルシンキの美術学校(現在のフィンランド国立美術アカデミー)で絵画を学んだ後、1910年代から晩年まで、子ども向けの出版物に数多くの挿絵を描いた。コイヴが挿絵を担当したものとして特によく知られているのは、フィンランドの童話の父と称されるトペリウスの作品、グリムやアンデルセンの童話、クリスマスに発行される子どもの雑誌、学校教材などである。コイヴの作品は現在も根強い人気があり、クリスマスカードやカレンダーに使われたり、コイヴの挿絵による児童書が新たに編まれたりしている。
◆2007年の受賞者(2007年2月1日発表)
●受賞者 Camilla Pentti
●受賞作 "Lehma jonka kyljessa oli luukku"(Tomi Kontio 文)
(Lehma と kyljessa の a にウムラウト)
受賞作は、独特のしゃべりかたをする双子の姉妹が主人公の、言葉遊びを多用した絵本。家出をした姉妹が、わき腹に窓のある不思議な牛に出合い、窓から牛のおなかの中に入れてもらうと、そこには想像もつかない世界が広がっている、というストーリーである。Camilla Pentti の挿絵は、たっぷりと重量感のある色づかいと構成のおもしろさ、文との緊密な一体感が評価された。
Camilla Pentti は1979年生まれで、ヘルシンキ芸術デザイン大学修士課程に在籍中。受賞作の装丁も手がけている。児童書の挿絵は本書が初めてである。
なお子ども審査員団が優秀作品として選んだのは、Christel Ronns(o にウムラウト)の挿絵による読み物 "Kaveria ei jateta, pikku nalle"(jateta の a すべてにウムラウト)(Tuula Kallioniemi 作)であった。本書は、人間の男の子と、彼の友だちであるおもちゃのクマたちを主人公としたシリーズの2作目。
◇過去の主な受賞者
○Mauri Kunnas(マウリ・クンナス)
2003年に "Seitseman koiraveljesta"(Seitseman の a と、koiraveljesta の最後の a にウムラウト)で受賞。19世紀の文豪アレクシス・キヴィの長編小説を、犬のキャラクターによって絵本にしたユーモラスな作品である。邦訳には『サンタクロースと小人たち』(稲垣美晴訳/偕成社)などがある。
○Julia Vuori(ユリア・ヴォリ)
1999年に子ども向けの現代美術解説書 "Nykytaide suurin piirtein"(Marjatta
Levanto 文)で受賞。邦訳に『ぶた』『ぶた ふたたび』(いずれも、森下圭子訳/文溪堂)などがある。
○Kristiina Louhi(クリスティーナ・ロウヒ)
1989年に "Mina olen pikkupanda"(Mina の a にウムラウト)(邦訳『ぼくはちびパンダ』ハンヌ・マケラ作/坂井玲子訳/徳間書店)および "Taivaanpojan
verkko"(Hannele Huovi 文)の2作で受賞。邦訳にはほかに、『うちのあかちゃん トンパちゃん』(坂井玲子訳/徳間書店)などがある。"Taivaanpojan verkko" と同じ作者の『羽根の鎖』(ハンネレ・フオヴィ作/末延弘子訳/小峰書店)の装画も手がけている。
(古市真由美)
【参考】(▼は、基本的にフィンランド語・一部英語表記あり)
▼フィンランド児童文学研究所(Suomen Nuorisokirjallisuuden Instituutti)による過去の受賞作リスト
http://www.tampere.fi/kirjasto/sni/snpalk6.htm
▼フィンランド児童文学作家協会(Suomen Nuorisokirjailijat ry)公式ウェブサイト
http://www.nuorisokirjailijat.fi/
▼フィンランド書籍出版協会(Suomen Kustannusyhdistys ry)公式ウェブサイト
(フィンランド図書財団 Suomen Kirjasaatio と共同。saatio の a すべてと o にウムラウトがつく)
http://www.skyry.net/
▼ルドルフ・コイヴによるクリスマスにちなんだ作品が見られるページ
http://virtual.finland.fi/scripts/rudolf.asp
▼Camilla Pentti 公式ウェブサイト
http://www.camillapentti.com/
▼Mauri Kunnas 公式ウェブサイト
http://www.maurikunnas.net/
▼Kristiina Louhi 公式ウェブサイト
http://www.kristiinalouhi.net/
▽マウリ・クンナス邦訳作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/k/mkunna_j.htm
▽ユリア・ヴォリ邦訳作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/v/jvuori_j.htm
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―― 生まれてきたものは、人生のために闘うべきよ ――
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●注目の本(未訳読み物)●
―― グラフィック・ノベルで異文化と出合う ――
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●賞速報●★2007年ニュージーランド・ポスト児童書及びヤングアダルト(YA)小説賞候補作発表(受賞作の発表は5月17日) ★2007年ローラ・インガルス・ワイルダー賞発表 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」をご覧ください。 |
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●イベント速報● |
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★展示会情報 |
目黒区美術館「チェコ絵本とアニメーションの世界」 伊丹市立美術館「元永定正+中辻悦子 絵本原画展」など |
★セミナー・講演会情報 |
大阪国際児童文学館「台湾と日本の絵本」など |
詳細やその他の展示会・セミナー・講演会情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、空席状況については各自ご確認願います。
(井原美穂/笹山裕子) |
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●やまねこカフェ 海外レポート●第5回スイス(チューリヒ州) |
〜メルヘンが育てる国語の力〜
メルヘンに親しみながら国語の力を伸ばそう――。スイスの中学生が、「言葉と魔法」をテーマに、国語(ドイツ語)の授業でメルヘンに取り組んだ。メルヘンは、民衆の間から生まれ、語られてきた口承文芸である。中でも、19世紀のドイツでグリム兄弟が収集し伝えたメルヘンは、人々の身近にあって、愛されてきた。 (大隈容子) |
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●読者の広場●海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ! |
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