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月刊児童文学翻訳

─2000年5月号(No.20 情報編)─

※こちらは「情報編」です。「書評編」もお見逃しなく!!

児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、
電子メール版情報誌<HP版>
http://www.yamaneko.org/mgzn/
編集部:[email protected]
2000年5月15日発行 配信数1,626


「どんぐりとやまねこ」

     M E N U

◎プロに訊く
第12回 さくま ゆみこ さん(翻訳家)

◎特集
祝開館! 国際子ども図書館レポート

◎展示会情報
宮城県美術館「オリニの世界から――韓国絵本原画展」他

◎セミナー・講演会情報
東浦和図書館「こどもと本の心星 瀬田貞二の世界」他

◎世界の児童文学賞
第10回 ゴールデン・カイト賞



プロに訊く 第12回

―― さくま ゆみこ さん(翻訳家) ――

 

 今月は、子どもの本の翻訳・編集でご活躍されているさくまゆみこさんのインタビューをお届けします。元編集者ならではの子どもの本への熱い思いなど、翻訳だけでなく広い視野からのお話をうかがうことができました。お忙しい中、長時間おつきあいくださったさくまさんに心から感謝いたします。

 

【さくま ゆみこ さん】

 東京都生まれ。長年編集者・翻訳家として、数多くの子どもの本を送り出してきた。2年半前に出版社を退職し、現在はフリーの翻訳家として活躍中。玉川大学、同大学院、白百合女子大学で、児童文学の講師も務める。『もうひとつの「アンネの日記」』(アリソン・レスリー・ゴールド著/講談社)で産経児童出版文化大賞、『ゆき』(ユリ・シュルビッツ作/あすなろ書房)で日本絵本賞翻訳絵本賞を受賞。今年の3月には、イギリスの古典作品を紹介した著書『イギリス7つのファンタジーをめぐる旅』(メディアファクトリー)を出版した。

【さくまゆみこさん訳書リスト】
【さくまゆみこさんインタビュー ロングバージョン】

 

★編集者・翻訳家として子どもの本に関わるようになったきっかけは何ですか?

 就職した出版社で児童書の担当になったのがきっかけでした。大学の専攻が仏文学で、卒論にサン・テグジュペリの作品を取り上げていたので、児童書好きと思われたようです。実際にはサン・テグジュペリといっても、『星の王子さま』だけではなくいろいろなものを取り上げたので、どうして私が?という感じでした。でも、やっているうちに子どもの本がだんだんおもしろくなってきて……もう少し深く勉強をしたいと思い、3年後に退職してイギリスへ渡りました。一般家庭に下宿して、図書館や子どものいる場所をまわったり、カレッジの英文学のコースに通ったりして、3年9か月滞在。帰国後は別の出版社に勤めましたが、2年半前からはフリーで翻訳や編集の仕事をしています。


★アフリカの作品を数多く翻訳されていますが、アフリカには以前から興味をお持ちだったのでしょうか。

 最初に興味を持ったのは音楽です。ジャズからブルース、そしてアフリカ音楽と聞いていき、アフリカそのものに心惹かれるようになりました。アフリカの作品にはじめて触れたのは大学のときです。当時は大学が荒れていて授業がなく、代わりに学生たちが自主講座を開いていました。そこで西アフリカの仏語圏の人たちが書いた文学を読み、ますます興味がわいたんです。それからイギリスでアフリカの昔話に出会ったのですが、これがものすごくおもしろかった! その頃はちょうど、語り継がれてきた話が消えてしまわないようにと、アフリカの人たちが本にまとめていた時期でした。ロンドンに来ていたアフリカの人たちに会って、いろいろな話を聞いたりもしました。反アパルトヘイトの運動に関わったこともあります。


★アパルトヘイト下の南アフリカを舞台にした『炎の鎖をつないで』(ビヴァリー・ナイドゥー作/偕成社)もさくまさんの翻訳ですね。このような社会の問題点を描いた作品も数多く手がけていらっしゃるようですが――。

 子どもの本が子どもに対して担う役割があるとするなら、子どもが自分で開けていくための「窓」を用意してやることだと思っています。日本は島国なので、まわりの国のことが伝わってきにくい。だから、子どもの視野を広げるために、社会問題を扱ったものから単純におもしろいものまで、いろんな窓を用意してやる必要があると思います。特に年齢の高い子どもたちには、社会問題を扱った作品もどんどん読んで、広い世界を知ってほしいですね。


★最近、ガアグの『スニッピーとスナッピー』(あすなろ書房)、ロジャンコフスキー『おおきなのはら』(光村教育図書)など古典的な絵本を翻訳されていますね。

『スニッピーとスナッピー』表紙

 何年か前に、ミネソタ大学のカーラン・コレクションに収められているアメリカ黄金時代の絵本原画を見て、あの時代の絵本作家はやはりすごいとつくづく思いました。個人的にも大好きなんです。おもしろいから未訳の作品を探してみようと編集者と話すうちに、いくつかの作品の翻訳が実現しました。

 でも、古い作品だけにこだわっているわけではありません。それに絵本を一つの表現のジャンルと考えれば、読者は子どもに限りませんよね。編集者時代には、60代、80代といった方から読者カードが届いていたこともありました。これからは、高齢者が手に取る絵本があってもいいだろうし、子どもと大人の両方が重層的に楽しめる絵本があってもいい。とにかく古いものから新しいものまでまんべんなく目を配って、いい作品を探していきたいと思っています。


★作品を探すときは、どのような点に注意すべきなのでしょうか。好き、というだけではだめでしょうし……学習者にとってはとても難しいことだと思うのですが。

 編集者時代は常に「良くて売れる」という二つの条件を満たした作品を探していました。今でも本を見るときにはその編集者時代の目で見ていますね。二つの条件を満たすのは難しいことではないかと思われそうですが、私は「良い作品はそこそこ売れる」という信念を持っています。「好き」ということに関してですが、自分がとても好きだと思う作品に対しては、少しひいて考えるようにしています。「好き」という感情が勝っているかもしれませんから。でも、最初は「この作品が好き!」でいいんじゃないでしょうか。それが一番だと思いますよ。


★ジャクリーン・ウッドソンの『レーナ』(理論社)は、持ちこみだったとうかがいましたが。

 出版社に勤めていたとき、エージェントから『レーナ』の原書を紹介されました。どうしても出したいと思ったのですが、諸事情から無理だったんです。それなら自分で訳して出そうと出版社をまわりましたが、行く先々で断られ続けました。出版までにずいぶん時間のかかった作品です。

 ウッドソンは困難な社会状況に向き合う子どもを描いていますが、大変さを前面に打ち出すのではなくリリカルに描いているところがいいと思います。


★最後に、翻訳家をめざしている読者にアドバイスをお願いします。

 大学院の翻訳コースの学生にいつも言っているのは、英語ができても翻訳はできないということです。だから、日本語が上手な人の小説やエッセイを読むことを薦めています。誰でもいいんですけど、例えば山本周五郎さん、井上ひさしさん、須賀敦子さん。瀬田貞二さんや永井淳さんなど、うまいなと思う人の訳文と原文を照らし合わせて読んでみるのもいいですね。瀬田さんは、訳文を見ても英文が想像できない。素晴らしい日本語だと思います。

 

★さくまさんの今後の出版予定★

 E・B・ホワイトの『スチュアート・リトルの大ぼうけん』『シャーロットの贈り物』(以上、あすなろ書房)、レイモンド・ブリッグズの新作絵本(小学館)、ジャクリーン・ウッドソンの3部作(ポプラ社)、エリック・キャンベルのアフリカゾウの物語(徳間書店)、ディック・キング=スミスの新作(講談社)など、他にもまだまだ目白押しだとのこと。楽しみです。

(インタビュアー 植村わらび)

 

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特集

―― 祝開館! 国際子ども図書館レポート ――

 

国際子ども図書館(外観)  子ども読書年である今年の5月5日、こどもの日、東京・上野に「国際子ども図書館」が産声をあげた。子どもの本の図書館というと、私立の東京子ども図書館や府立の大阪国際児童文学館が既に親しまれているが、国際子ども図書館は我が国で初めての国立の児童書専門図書館。その設備やサービス内容を実際に確かめてみたいと、上野に足を運んだ。

 

◆緑の中に建つ洋館――1Fエントランス

国際子ども図書館(一枚板)

 初夏の風が気持ちいい上野公園をぬけていくと、3分の2ほどを工事用シートに覆われた洋館が見えてきた。入り口の横には驚くほど大きな一枚板。「国際子ども図書館」と黒々とした文字で記されている。この建物は「上野図書館」として親しまれてきた明治時代からの歴史的建造物だが、現在は国際子ども図書館として生まれ変わるための改修工事中である。旧建物を活かしたという改修計画には建築家・安藤忠雄氏が携わっているという。

 ガラス張りの明るいエントランスが完成した今年、全建物の3分の1を使用してとりあえずの開館となった。これから2年間、たっぷりと時間をかけてサービスの拡充を図りながら、工事の完成を待つ。2002年の全面開館時には堂々とした洋館が緑に映えることだろう。

 エントランスからエレベーターホールへと続く廊下は、ところどころがアーチ型に低くなっていて、トンネルに入っていくような気分になる。現在1階はカフェテリアの営業のみとなっているが、将来は子どものためのスペースが加わる予定。


◆世界各国の絵本が勢揃い――2F資料室(1)

 エレベーターで2階に上がると、そこは18歳以上が利用できる、大人のための資料室。大きなバッグは奥のコインロッカーに入れ、そのあと資料室利用申込書に氏名、年齢、住所等を記入、入り口のカウンターに申し込む。身分証明は必要ない。

 入り口に立つなり高い天井と、その天井までとどく壁際の書棚に圧倒される。中にはC・S・ルイスの研究書からポケモンまで多種多様な本が並んでいる。国会図書館の納本制度の賜物だ。ただし、まだ棚に空きが目立ち、準備段階といったところ。蔵書が充実するのはこれからになりそうだ。最終的には17万冊がそろう予定。

 そんななか目をひいたのは世界各国の絵本の原書。70の国と地域を網羅している。なかなか見る機会のないイラン、インド、ケニアなどの味のある作品が並んでいる。またホーンブックなどの海外児童書情報誌も一通りそろっている。室内(約20席あり)での閲覧しかできないが、地方の方も希望の資料を最寄の公共図書館まで取り寄せて見ることができる。


◆インターネットでアクセスできる図書目録――2F資料室(2)

 資料室の6台の端末は大きくフラットなディスプレイが見やすい。この図書館の児童書総合目録が検索できるほか、他の図書館の目録ともリンクしており、合わせると膨大なデータベースとなる。リンクしているのは、国会図書館、大阪府立国際児童文学館、日比谷図書館、三康図書館、神奈川近代文学館、日本近代文学館の6つだ。

 さっそく試してみたが、国際子ども図書館のデータベースは現在作成途中ということで、まだ検索できない資料がかなりあった。また入力時に、4つに分けられた年代の中からひとつを指定する作業が少々煩わしかった。書誌情報は、資料によって違いがあるが、概して詳細だ。原書のタイトルが入力してある翻訳書なら、原書名からの呼び出しもできる。検索はインターネットを通して利用可能。全国の人が自宅にいながら利用できる環境になっている。データベースの完成が待ち遠しい。


◆充実した開館記念展示――3Fホール

 さて、再びエレベーターで3階ホールへ。ルネッサンス様式の内装で、天井のシャンデリアが格調高い。ここでは6月4日まで、開館記念の展示会「子どもの本・翻訳の歩み展」が開催されている。他国の子どもの本がこれほど読まれている国はないといわれる日本で「翻訳」が果たしてきた大きな役割を振り返る企画。『ロビンソン・クルーソー』に始まり、1960年代までの主な翻訳作品が紹介されている。『愛ちゃんの夢物語』(Alice's Adventures in Wonderland)など、タイトルや人名の訳に文化の溝をうめようとする当時の苦労がしのばれ、興味深い。

 展示の横の端末には「絵本は舞台」と題したプログラムが用意してあり、グリーナウェイなど、19世紀のイギリスを代表する3人の作家の作品が音声付きで楽しめる。このプログラムもインターネットで利用できる。マルチメディアの展示は今は3つの端末だけだが、全面開館後にはミュージアムとして専用の部屋ができる予定。

 また、このホールにはロフトがあり、国内外の絵本、約3,000冊をそろえた「子どもの部屋」になっている。ホールのシャンデリアが間近に見える、ちょっと隠れ家風のスペース。ここでは、子どもが好きな本を自由に手に取ることができる。開館直後の週末は、読み聞かせをする親子でにぎわったという。将来的には、1階に「子ども室」「おはなし室」ができ、子どものための部屋が増える予定となっている。

(レポーター 大塚典子)

 


国際子ども図書館

〒110-0007  東京都台東区上野公園12-49
Tel 03-3827-2053 Fax 03-3827-2043
 


ホームページ:
http://www.kodomo.go.jp
E-Mail: [email protected]
開館時間: 午前9時30分〜午後5時(ただし、10月から3月まで、3階ミュージアムと4階子どもの部屋は午後4時に閉室)
休館日: 月曜日、国民の祝日・休日(5月5日こどもの日は除く)、年末年始(12月28日〜1月4日)
休室日: 休館日以外に以下の日が休室となります。
2階「資料室」:日曜日
3階「ミュージアム」:展示会準備等のための休室日

 

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展示会/セミナー・講演会情報

―― 展示会情報 ――

 

◎国立西洋美術館「ピカソ 子供の世界展」
所在地: 東京都台東区上野公園7-7
電 話: 03-3272-8600
会 期: 平成12年6月18日まで
休館日: 月曜日
入場料: 一般1300円 高・大学生900円 小・中学生400円
内 容: ピカソの絵の中から子供をモチーフにした油彩、素描など約160点を展示。
 
◎宮城県美術館「オリニの世界から――韓国絵本原画展」
所在地: 宮城県仙台市青葉区川内元支倉34-1
電 話: 022-221-2111
会 期: 平成12年5月26日から6月25日まで
休館日: 月曜日
入場料: 一般300円 大学生・高校生150円 小・中学生70円
内 容: 『マンヒのいえ』(セーラー出版)など、韓国の絵本25作品の原画を200点以上展示。
 
◎大丸ミュージアムKOBE「エリック・カール原画展」
所在地: 神戸市中央区明石町40番地 大丸神戸店内
電 話: 078-331-8121(大丸神戸店)
会 期: 平成12年5月23日まで
休館日: 会期中は無休
入場料: 一般700円 大学・高校生500円 中学生以下無料
内 容: 『はらぺこあおむし』などで知られる絵本作家、エリック・カールの絵本原画展
 
◎ギャルリ・ド・ぽえむ「中村悦子の原画展 〜あなぐまモンタン〜」
所在地 : 東京都世田谷区松原3-9-18(下高井戸駅より徒歩4分)
電 話 : 03-3325-3403
会 期 : 平成12年5月18日から30日まで 10:00〜18:00
休館日 : 23日(火)、24日(水)
内 容 : 『のっぽのサラ』『シンデレラ』など、児童書の挿絵や絵本で活躍中の画家、中村悦子さんの『あなぐまモンタン』原画展。
本人在廊日: 5/19(金)、20(土)、26(金)、27日(土)13:00〜17:00
 
◎銀座第一ホテルギャラリー「子どもの夢展」
所在地: 東京都中央区銀座8-13-1 銀座第一ホテル 1Fロビー
電 話: 03-3542-5311
会 期: 平成12年5月16から21日まで
内 容: 『見習い物語』『ヒッピー・ハッピー・ハット』など、児童書の挿絵で知られる中釜浩一郎氏が講師を務める絵画教室のグループ展。

(瀬尾友子)

 

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―― セミナー・講演会情報 ――

 

◎クレヨンハウス 子どもの本の学校「斬新で新鮮で挑戦的で挑発的で」
講 師: 金原瑞人(翻訳家)
日 時: 平成12年5月20日(土)16:00〜17:30(15:30開場)
場 所: クレヨンハウス大阪店(大阪府吹田市江の木町5-3)3Fびいどろほおる
定 員: 150名
参加費: 非会員 2,500円 会員は無料(年会費に含まれる)
非会員は当日の朝11時から子どもの本売場で販売される当日券を購入。
問合せ: クレヨンハウス大阪店(TEL 06-6330-8071 FAX 06-6330-8075)
内 容: 斬新で驚きに満ちた作品を発表する英米の新しい作家たちを、翻訳の苦労話をまじえて紹介する。
 
◎東浦和図書館 子ども読書年記念事業「こどもと本の心星 瀬田貞二の世界」
講 師: 斎藤惇夫(児童文学者)
日 時: 平成12年6月18日(日)14:00〜16:00
場 所: プラザイースト(埼玉県浦和市中尾1440-8 TEL 048-875-9933)
定 員: 200名(先着順)
申 込: 6月7日朝9時より、プラザイーストに電話または来館して申し込む。
問合せ: 浦和市立東浦和図書館(TEL 048-875-9977)
内 容: 『三びきのやぎのがらがらどん』『ナルニア国ものがたり』などの翻訳や、創作・評論等で児童文学界に大きな業績を残した瀬田氏について講演する。
 
◎2000年絵本フォーラム in やまがた
講 師: 荒井良二、小野明
日 時: 平成12年5月19日(金)10:00〜15:30
場 所: 山形市緑町1-2-36 遊学館ホール
内 容: 第1部 講演と対談「絵本で元気になろう!」
第2部 ゲストとのお話会「絵本をもって集まろう」
☆荒井さんの部屋「私が好きな荒井さんのこの一冊」
☆小野さんの部屋「私が元気の出るこの一冊の絵本」
※参加者は各部屋のテーマに該当する絵本を一冊持参のこと。
参加費: 1500円
定 員: 第1部は300名、第2部は各部屋30名(申し込み順)
申 込: やまがた絵本クラブ 加藤(TEL 023-643-9575)
その他: 無料託児あり(要予約25人まで)

(中野伊都子/横山和江)

 

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世界の児童文学賞 第10回

―― ゴールデン・カイト賞(アメリカ) ――
〜作家・画家の協会が同業者に贈るユニークな賞〜

 

■概要
名 称 : ゴールデン・カイト賞 (The Golden Kite Award)
対 象 : 児童書作家・画家協会会員による作品
部 門 : フィクション、ノンフィクション、絵本・絵、絵本・文
創 設 : 1973年
選 考 : 児童書作家・画家協会(1971年設立、現会員数12,000人以上)
(The Society Of Children's Book Writers And Illustrators)
関連サイト: http://www.scbwi.org/awards.htm

 

 ゴールデン・カイト賞は、「児童書作家・画家協会」によって「同業者」に贈られるユニークな賞である。1973年にフィクションを対象に創設され、77年にノンフィクション、82年に絵本・絵、96年に絵本・文の各部門が加わった。対象となるのは、作家・画家協会会員が前年に出版した作品で、受賞作とオナー作が各部門1冊ずつ選ばれる。各部門共通で選考にあたるのは、協会が選出した作家、画家、編集者、司書からなる5名の審査委員。内容や芸術性が優れていることに加え、子どもの興味や関心をひく魅力が備わっているかどうかが審査の基準となる。

 

■1999年度の受賞作(2000年3月23日発表)

【フィクション】
 Laurie Halse Anderson "SPEAK"

【ノンフィクション】
 Marianne J. Dyson "SPACE STATION SCIENCE: LIFE IN FREE FALL"

【絵本】
 文:Deborah Hopkinson "A BAND OF ANGELS" ※下記参照
 絵:Amy Walrod "THE LITTLE RED HEN (Makes a Pizza)"

 

■主な受賞作家

【フィクション】 Donna Jo Napoli ドナ・ジョー・ナポリ
 1997年、"Stones in Water"で受賞。第二次大戦中、イタリアでナチスに捕らえられ、ドイツの収容所に入れられたユダヤ人少年たちの友情を描いた。他に『逃れの森の魔女』(金原瑞人・久慈美貴訳/青山出版社/"The Magic Circle")、"Sirena"、"Zel"など、昔話やおとぎ話をモチーフにした独創的な作品も数多く発表している。

【ノンフィクション】 Russell Freedman ラッセル・フリードマン
 オナー賞含め、過去8度受賞。ニューベリー賞受賞歴もある、アメリカを代表する子ども向けノンフィクション作家である。著書に『小さな労働者』(千葉茂樹訳/あすなろ書房/"Kids at Work"/94年受賞作)、『クレイジー・ホース』(ぬくみちほ訳/パロル舎/"The Life and Death of Crazy Horse")など多数。

【絵本・文】 Deborah Hopkinson デボラ・ホプキンソン
 今年度初受賞。1991年に"Pearl Harbor"でデビューして以来、歴史を題材にとったノンフィクションや物語を中心に作品を発表。ストーリー性に富んだ叙情的な作風が評価されている。受賞作の"A Band of Angels"では、南北戦争後、解放奴隷のための学校存続に一役買った黒人コーラス隊の活躍を描いた。現在のところ邦訳はない。

【絵本・絵】 Kevin Hawkes ケビン・ホークス
 1993年、"By the Light of the Halloween Moon"で受賞。作品に『大森林の少年』(キャスリン・ラスキー作/灰島かり訳/あすなろ書房/"Marven of the Great North Woods")、『ウエズレーの国』(ポール・フライシュマン作/千葉茂樹訳/あすなろ書房/"Weslandia"/本年度英国グリーナウェイ賞候補作)他多数。

(森 久里子/植村わらび)

 

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やまねこ翻訳クラブ(会員数181名)


 やまねこ翻訳クラブは、海外の子どもの本に関する情報交換、翻訳・シノプシス自主勉強会などを行っている児童書専門サークルです。翻訳と子どもの本に興味のある方でしたらどなたでも入会できますので、ぜひお気軽にご参加ください。

――ニューベリー賞読破マラソン開催中!――


出版翻訳ネットワーク・メープルストリート

新刊情報・イベント情報などを掲載いたします。
詳しくは[email protected]まで


●編集後記●

 オープンしたばかりの国際子ども図書館に行ってきました。蔵書数や使い勝手はまだまだという感じでしたが、世界各国の絵本はすばらしかったです。(み)


発 行: やまねこ翻訳クラブ
発行人: 林さかな(やまねこ翻訳クラブ 会長)
編集人: 宮坂宏美(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画: 河まこ キャトル くるり 小湖 Chicoco どんぐり BUN ベス YUU りり ワラビ MOMO つー さかな こべに みーこ きら Rinko SUGO わんちゅく みるか NON
協 力: @nifty 文芸翻訳フォーラム
小野仙内 ながさわくにお


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